アイスクライミングで使用する各種『用具類』の研磨系・技術と注意点
研ぐ、ヤスリ類での加工に関しては充分な吟味と、用具に関する知識を得てから
刃物の本式の、研ぎ方を学んだのは小学校の低学年の頃。親父の手先で滑らかに動く
刃先と、砥石を見つめて体験から身に付けた技術。アイスクライミングで必要な、各種
用具類にも、ヤスリを当てて、鋭い刃先やクランポウのスパイクの先端部を、丁重に尖らせるメンテナンス&改良の技術を知っていると、現場での不要な労力を減らせ、危険からの回避にも直接・つながる。覚えておいて、損の無い『数少ない、自分で出来る』
用具・改良の手段。

30数年前から、アックスもクランポウ(アイゼン)も、私は積極的に山の中でも、研いでいた。小型の『軽量ヤスリ』の携行も、私にとっては習慣となっていた。


ナイフ一つ、切れる様に研げないで・・・・アックス類のピックにヤスリを当て、鋭利にするのは比較的
簡単なのだが、誤って手指を傷付けないように注意する必要は、慣れた人にも大切です。
最先端・最新の『アイスクライミング・ツ−ル』を手に入れても、初心者や用具の持つ、性能を理解していない人は、無闇に「ヤスリ」や、加工の手を加えるのは、止めておいた方が良いだろう。信頼出来る『アドバイザ−』に、まずは相談される事を薦めます。
尖らせれば、何でも氷には良く刺さる。そう断言する人も、いますが単純にアックス類のピック部分を薄く、鋭利に尖らせばアイス・クライミングには有効と考えるのも少し、強引な意見。以前ならば、今ほど材質・性能・重量的に見て、良いアックス類は少なくて、多くのクライマ−はグリップからピックまで、それぞれの経験からのアイデアで、アックス類の改造を行うのは、それほど珍しくは無かった。
アイスクライミングに限らず、時代に先駆けた、秀でた活動や発信を行える人達は、クライミング・ジャンルのみならず、その分野で何か新しいアイデアや、発想を持っている人が、多い。アイス・クライミングでも、最も初期にノ−マル・カ−ブ(アルパィン・タイプ)の既製品アイス・アックス(ピッケル)類を、自分で改造・加工して今風なカ−ブ曲線を持ち、より急峻な氷を登れる、装備へと発展させた森先生や、独自の体験理論で日本刀の様な鋭さと、カッテイングから引き付け、安定度までの性能を極めた国産アックス類を、作った故・長谷川氏は、そういった時代に先駆けた開発・実践者だ。

1984年『岳人』取材時

最近は、個人範囲の情報だけではなく。
MIXED系の技術マニュアルも、数多く
出ているので、用具類の積極的な改造
や、改良を行う事は珍しくは無い。

コンペからの、影響も強く。
まだ・まだ発展段階に位置する『用具』
への、関心は深まる一方だ。

(右・表紙写真)
内容に、現代的なアックス類のピックに
施す、改造を解説してあります。
最先端とは、言えませんが、基本的な
改造に関しての、知識として一読されると良いと思います。
       ICE&MIXED CLIMBING
         Modern Techniqe
Will  Gadd

THE MOUNTAIEERS BOOKS
1001 SW Klickitat Way Suite 201
Seattle WA  98134
SPORTS CLIMBING /HOW-TO
よく切れる刃物は怪我をしない。逆に考えるのは
実際にナイフや包丁を、頻繁に使わない人や刃物
の使い方、そのものを知らない初心者。

同じ様な事が「アイスクライミング』で、使用される各種
用具でも、言える。初心者や実際の、厳しい状況下で
用具を使った、経験が無い人ほどアイゼンやアックス類
の選択時点から、始まってメンテナンスを含めて無頓着
な人が、多い。本人が『危険や不注意』ならば、被害は
最小限で、すむかも知れ無いが大抵、そういった無神経
な人は、自分の考え方や『危険』を他者に吹聴する傾向が強い。そういった『先輩・リ−ダ−と呼ばれたい』人達
の用具に関する知識や実体験は、薄く意識は軽薄だ。
MCS国際・山岳プロガイド 舟橋 健
最近になって、過去の個人的な手作業・範囲では『ヤスリ・ガケ』が適わなかったアイス・バイル
アイス・ハンマ−のピックを思い出していた。記憶に残るのは、最も初期に国内に入荷していた仏
シモン社の『セキネル・コンド−ル・シリ−ズ』で販売されていたモデルで、特にアイス・ハンマ−
最初の製品は、少し材質が違っていたのかも知れ無いが、次ぎのモデルは『ピック先端・部分』に
特殊な加工を施しているのか、材質面が特殊だったのかタングステン鋼材、並みに高硬度だった
ヤスリを新品や、番数を変えても全く『ヤスリ』が、かからない。

滑らかな、と表現したい手応えの無い高硬度な材質だったので、思うような鋭さに削る?のは至難のわざ。過去に、これ以上・削り難く『ヤスリガケ』が、困難なピック類は出合った事は無い。
今から、思えば各種アックスのピックが、あの程度の高硬度・高強度ならば替えピックは売れな
だろうと。(だから、初期モデルのハンマ−・ピック)は普通に減るタイプに替えたのかも知れない
そう言えば、かなり古い話しだが。1本のキリ(ドリル)で実に、30本・以上のボルトの穴を空けられる特殊な『ハンドメイド・ジャンピングと高硬度キリ(ドリル)』と、いった特殊なジャンピング・セット一式を、宮崎登攀倶楽部の先輩から、譲って貰え、使っていた頃に市販品の、あまりの不経済性と消耗に、比較して腹が立つ想いだった事を記憶している。あの種類の『実際に必要で、役立つ』装備やクライミング・ギアは営利追及・社会の中で生きて、遊ぶ我々には手に入らない現実。

アイスクライミングで最も使用頻度が高く、ミスヒットや数回の利用で、悲しいほどに損傷してしまう『アックス』類のピック先端部は、多分?消耗品としての宿命からは逃げられないが現在・市販
されている数多くのメ−カ−品は、本当に必要な硬度や耐久性能を持っているのかは疑問。
『替刃』が交換できるシステム・アップのアックス類が登場してから、ピックの損傷や磨耗で不要な
危険を簡単に回避できるようになったが、頻繁にピック類を交換して、使用するには現在の高性能タイプの『替えピック類』の価格は安くは無い。
中には、この価格が本当に妥当なのだろうかと疑問に感じてしまうような代物も、存在していて
購入時には各種『オプション販売』の『替刃・ビック』や、他の付属品の価格も充分に考慮しておい
た方が良いかも知れない。

俗に『ギンギンに研ぐ』と表現される事が多い、ピック類への加工・改造には手を加えるべき
適切な箇所と方法が、あるので無闇に『ギンギン』に研げばアイスクライミングで有効だと勘違い
してはいけない。ピック先端部を、あまりに薄く研ぎ過ぎるとミスヒット1回で新品のピックの本来
持っている性能も、簡単に消滅してしまう。

『ピック側面』も同様で、強度を無視して過度に削り落としてしまうと破損の危険性が増大して
しまう。それぞれのメ−カ−・タイプによって、ピック類の適正・肉厚やギザミ加工の深さや段差
の付け具合にも、微妙な違いが存在しているので自分の手で使い易く加工・改造を行うのであ
れば、まず購入後の最初の使用時には、最低限の改造に止めておいて使用感覚を体験後に
自らが望む範囲で、少しずつ改造を行なうのが理想的な方法です。