『バット・フック』を例外の一つとして、各種・様々な現代的な『フック類』を使えるか、使えないか、もしくは必要とするか、しないかの論議を日本のクライマ−の話題のに中で、聞き及ぶ機会は殆ど無いに等しい
『アメリカン・エイド』と言う「表現」が、一時期・雑誌「記録の中」だけで、頻繁に登場していた時期を記憶していて、同じ様な表現は新しい『用具』が登場して、使用される度に頻繁に利用されて来た。

『アメリカン・エイド』か『ビッグ・ウォ−ル・エイド』又は、単純に『エイド・クライミング』と称する、それぞれの使用者の意識に負うところで、変化しているが一時期、雑誌から普及した『ハ−ド・フリ−』と同程度の浸透度・普及範囲ではないかと、私は感じている。ボルトを゜使ったら『人工登攀』でナイフブレ−ド連打ならば『エイド・クライミング』そして、それほど新しい用具でも、なくなり出した『ラ−プ』や『スカイ・フック』類を使うと『アメリカン・エイド』と、何ら基準も統一性も存在しないような、あやふやな感覚だけで呼び名を変えて、使っているクライマ−も多いようだ。
南アルプスの冬。『静岡登攀倶楽部』と『神戸登攀倶楽部』は、似たようなル−ト開拓で積極的に使う為のフック類の改造品を岩場に持ち込んでいた。私も、当時の所属『神戸』の、仲間達と共に、シュィナ−ドのスカイ・フックを購入して来ては、夜な夜なフックにヤスリを当てては改造作業に、少なからぬ時間を費やし、秋・冬の開拓クライミングに、この用具を持ち込んでいた。『ヨセミテ土産』の壁下で、拾って来た由来を持っている、私が所有していた『リ−パ−・フック』が、この改造モデルの当時の基本・見本系の『フック』だ。文献・情報の中の、悪いフック『バット・フック』は、日本独特のリング・ボルトの埋め込みドリル径に、合致する穴のサイズに加工してあった。

かたや『元祖タイプのリ−パ−・フック』は元々、岩角に引っ掛ける基本形の用具で、比較的この種類の『フック』の中では小型で、鉤部も小さな物だった。数本、所有していた元祖物の本来の、使い方や特徴を有効に使うだけの、経験も知識も当時の私達は持ち合わせていなかったので、今から思えば貴重になった、この
『リ−パ−・フック』の数本を、無用に改造・加工してしまい、惜しい事をしてしまったと後悔している。

当時『シュィナ−ド・フック』よりも、先端部が幾分・狭くて鋭利に尖った、不安定な箇所に『リ−パ−』の方が、安定している、機能を正しく理解していなかったり、フックの使用場所を限定していて、使える範囲を想像する努力にも乏しかった様だ。

人生で、もっとも集中して『ドリリング』作業に費やした時間が、長い『吹雪の中での開拓クライミング』は、記憶の中では、楽しい想い出の一つだが、『坊主岩』の硬い、花崗岩で連続使用した『改造バット・フック』の記憶は、やや不満足の残る『用具・経歴』だった気がしている。

時間的な制約や、特に大きな制約となっていた『金銭面』の問題・解決には、大きく寄与していた『ひっかけフック使用』は、価格と労力に比例していたが、単調で刺激も無ければ、面白味も失われる、ボルト連打での
『ル−ト開拓・作業』よりも、『危険度』が付加されて、価値は高かった。

『スカイ・フック』から『グラップリング・フック』までの、基本的な形状の『フック』の使い方は、慣れるしか方法がなく、技術書やマニアルから得られる知識は大切だが、体験を積んで微妙な『岩を見る目』と、感覚的な設置方法を学ぶしか、技術は習得できない。

一般にピトンによる『ネイリング』が、職人的な要素が高いと言われるのに、比べて『フック/フッキング・テクニック』は、度胸・勝負と思われがちだが、連続的な『フック・クライミング』にも、精神的・肉体的な『バランス感覚』と、細部まで注意と集中力が要求される、一種・職人的な感覚・要素が必要とされる。

『フッキング』を安全に集中的に、トレ−ニングする為には一般の『クライミング・エリア』の使用は、不適当で適当なボルダ−や低い崖や、他のクライマ−が利用する事が無いような『岩』を、探すか『ドライ・ツ−リング・ル−ト』として、利用されている岩場を活用するのが、得策だ。
間違っても、既成の『フリ−クライミング・エリア』で、ボルトを利用したいからと言う理由で、岩場そのものを『フック』で、傷つけるような行為は行ってはならない。

技術的な問題・以外に『実践的な技術・習得』と、実際面での体験を積むには『ル−トを開拓』するのが、最も理想的で短い、距離であっても下から切り開く『初登スタイル』を、採用して『フック』類を含めて、標準エイド・ギア・セットとの組み合わせで、ル−トを造れば、得るものも大きい筈だ。

『エイド・テクニック』以前の、クライミング・テクニックと安全確保に充分な、自信が無いならば誰かに、確実・安全な確保を頼むか、エイド・テクニックと用具に関しての正しい「指導」を、素直に受けた方が絶対・効率的で時間と費用に、学ぶ範囲も当然ながら大きく有益。その場合『エイド・テクニック』に関しての経験と知識に習熟していて、特有の『危険』に関して配慮・指導が、行えるクライマ−を探すのが大切だ。

冬季クライミングや氷雪壁での、実用的な『エイド・クライミング』の知識や経験が無くても『技術』に、関しての指導者として問題は少ない。乾いた岩場での本格的な専門的な技術のみに、習熟・精通しているクライマ−が、この種の特殊な『技術・項目』に詳しく、実力を備えている場合も多い。

『オ−ル・ラウド』とか『エキスパ−ト』と、表現・称して氷雪の山でのクライミングに高い、評価を与えて専門化・特化した他ジャンルの、クライミング実践者の能力や経験を、低く見る傾向があるクライマ−からは、学べる知識は少ない。氷雪の岩壁で高度な『エイド・クライミング』を駆使したいか、どうかは個人の指向・好みの問題で、以前の様に『アルピニスト・ヒマラヤニスト』優位・論は不要だ。

専門的・厳しい『エイド・ル−ト』の世界を、切り開いている現代のクライマ−の多くは、フリ−のレベルも充分に高く、用具に頼った、だけの過去の『ひ弱な』クライマ−よりも、はるかに精神的にも強く、卓越したクライミング・テクニックの実践者が多い。彼らが、進む先に『アルパィンの世界』や、さらに『高峰』が、在るのか・どうかは本人達の問題だ。
単発で使用する『フック・テクニック』から、進んで連続的に前進・手段として各種『フック』を、使い出すとフリ−クライミングでの、ム−ブ感覚と同じ様に、『フッキング・ム−ブ』が、理解できるようになり、岩質や節理の方向・緻密な表面の、微妙な凹凸から剃刀・程度の薄いフレ−ク、岩壁の傾斜まで、数多くの体感・情報と利用すべき『用具』との、相性や適正が短い時間で、的確に判断できるようになる。

傾斜が落ちた、スラブ壁での使用に適した『フック』は、初期の練習に最適でも、次ぎのステップには傾斜度が強まった壁で、浸食穴が利用できるタイプの岩質が扱い易く、『フッキングの基本』を、覚えるのに最適だろう。

『フック』を単純に、一回だけ使用して感覚に慣れるだけのトレ−ニングでは、実際のル−トで役立たない場合が多い。そういった型通り・みかけの体験を積んでいただけで、貴重な航空運賃と時間を無駄にして、労力を費やしただけで期待し念願だった、本物の岩壁で不本意な経験しか味わえなかった、クライマ−を目にしている。行けば、なんとか・なるタイプのクライマ−も実際は多くて、無闇に恐れ過ぎるのも問題だが、次ぎのワン・ステップの体験が無くて、失敗するクライマ−も実は多い。無闇に『ワン・ステップ』を踏み出すと、安全領域から外れてしまい、退却が不可能な地点でパニックに襲われて、自力退却が不可能になると悲劇だ。
事前の『トレ−ニング』に、意義を見出すならば『実践感覚を目的とした』練習の方法と、意欲を持つべきだ。

地面からの一歩の『フッキング』を、失敗すると意外とダメ−ジを受けやすい。反対にル−ト途中の、ある程度の傾斜・距離の中で墜落によるダメ−ジを少なく、工夫した環境でトレ−ニングした方が、恐怖感の克服や失敗時の理解にも役立つので、より実用的な練習となる。

まずは、使用している『フック』を、手放しても落さないように予め『ディジ−』と連結して、使用する『エイダ−/アブミ』と確実に、連結しておく事だ。次に、体重を預けた『エイダ−』に、ビレ−が取れるシステムを採用して、理解する事が重要で、ラッキングしていると『フイフイ』と、同様に何かに引っ掛かり易い『フック』類を、上手に捌いて、必要な種類をスム−ズに取り出す手順にも、成れた方が良い。ここで、手間取りたくは無いと、考えている箇所ほど『マ−フィの法則』並みに、引っ掛かって動きを疎外するものだ。

『フック』に『エイダ−』を、かけた場合に忘れがちなのは、『フック』に取り付けてある短い『テ−プ・スリング』に一度・エイダ−を通して、全体重を預けてしまうと、他のエイダ−や補助ビレ−に使いたい、カラビナを通すのは面倒・以上、かなり厄介なので、予めフック・スリングに工夫を施しておくか、最初から使う『カラビナ』の、枚数をセットしておくかだ。後から、付け足す方法は現場では使えない場面も在りえる。そして、面倒な作業を省略できない、動きは予測力の不足であって、経験不足を証明してしまう。
次に、何を設置して、どう動けば良いのかを素早く『判断・計算』する、能力は複雑な『エイド・クライミング』では、絶対に必要不可欠の体験・能力の、一つだと理解すべきだろう。

様々な『サイズ・種類』に、進化して分かれている現代の『フック』だが、大きく分けて5種類。
分け方には、他の種類も加えて8種類との意見もあるが、以前ならば『3種類』で、充分に説明できた種類も
『縦方向』に使うタイプが加わった事を、理由に『5種類タイプ』と、ここでは説明している。基本形は、当然ながら初期タイプの『シュィナ−ドのスカイ・フック型』二つ目が、先端部を鋭利にピン・ポィントで使い易く、工夫された『リ−パ−・モデル型』この、種類にはフランスのペッツルや、古いスチュバイ・モデルも含まれる。

三種類・目は、リ−パ−・ロ−ガン・タイプの改良型『主に小型のタイプが多い』改造タイプ、市販品も加えて
『バット・フック』にも使われる。

四種類・目は比較的、大きなフレ−クやエッジに文字通り、引っ掛けて支持点を作り出す『リング・アングル・クロ−・タイプ』一時期、日本国内にも入荷していたし模倣品も見たが、アメリカでも最近はガレ−ジ・プロダクツやハンド・メイド品でしか、流通・使用されていないようで『専門メ−カ−』から誕生・発売され出した、より軽量なタイプの用具に移行しているようだ。

五種類・目は『PIKA』から、一連のコンセプトの元に製作・発売されている、最新の『フッキング&カムド・ギア』類で、『クラックン・ナップ』から継承した『ペッカ−』とも、類似点が見受けられる『フック』だが、使用例・記録は今のところ『日本国内』では、見ていない最新エイド・ギアの一つだ。

私個人は『シュィナ−ド・スカイ・フック』を大型化した『グラップリング・フック』を、種類の中で区別するかどうか判然としていない。基本形の『フック』を単純に大きくしただけと考えても、良いが『フック』の発展・新化系・順路の中では、リング・アングルへの移行期に登場した『フック・タイプ』とも、感じるからだ。

旧式の平型『アイス・ピトン』を、折り曲げてオリジナル・モデルの『リング・アングル・クロ−』に、外見が非常に似通った『大型フック』を、改造・利用していた私が『オリジナル』製品を知ったのは、後の事で考えることは、どこでも同じ様なものだとは思った。