etriers/aid step
日本では、乗馬で鞍に座った状態で足を乗せるステップ状の用具から、命名されている『あぶみ』と言う表現で、この『エイド・クライミング用具』を、呼ぶことが多かった。最近では『エイダ−』と呼び称することが一般的に、なりつつあるが『アブミ』と呼ぶ、クライマ−も実際には多い。
単純な『自己吊り上げ』の技術では、突破できない箇所から補助的なロ−プ・スリングに足を、乗せて立ち上がって高度を稼ぐ(前進)技術が生まれて、2本の多段式『アブミ』の使用が考え出されて、積極的な『人工的』なクライミングのシステムが完成した。俗に日本では、フリ−クライミング(自由登攀)との、対比からエイド・クライミング(人工登攀)と、表現されて一般的には『ア−ティフィシャル・クライミング』と、表記されていたが現在では『エイド』『エイド・クライミング』で、多くのクライマ−間の情報、コミュニケ−ションは通用する。

ロ−プを数段、輪にした単純なシステムは現在・多くの『エイド・クライマ−』に使用されているテ−プを縫い合わせた最新式の『エイダ−の元祖タイプ』で、基本的なシステムに違いは無い。

日本では、木製のステップを梯子状に2段・ロ−プ・スリングに取り付けた物が、最初に使われていたらしく、徐々に改良・進化してステップが金属製となり、3段、4段と足を乗せるステップの数も増えて行き、市販品には3段タイプが登場して、主に登山靴で使い易い形状の物が、多く使用され出した。

『レビュファ・スタイル』の影響を強く受けていた、昭和・世代のクライマ−から、後の『ダイレクト/ディレッテシマ』エイド・クライミングーへの指向・興味に、情熱を傾けたクライマ−には『ステップ・タイプのアブミ』は広く普及していて、岩壁でも渓谷の滝のクライミングでも、同じ様に使われていた。
現代的な『エイダ−』として、普及しているテ−プを縫い合わせた
製品を、日本のクライマ−が使い始めたのは、欧米から見比べると
遅く、長く冬季クライミングや、登山靴に代表される、ハ−ド・ブ−ツ
を使用しての、クライミングが主流だったので、多段ステップ形式
の『梯子タイプのアブミ』の愛用者がステップが、時として開き難い
柔軟な『テ−プ・アブミ/エイダ−』に、変えるまでに時間が必要
だった。どんな『用具』も、変更・遣い替えるまでに時間が必要な
部分は、あって。この『クライミング用具』も、初期にはアイゼン着用
では、使えない。足を入れ難く、岩場で使い物にならないと酷評する
クライマ−は多かった。
私も、六甲の岩場で実際に使っているクライマ−を見て、拾って来た丸棒を紐で結んで、自作した3段アブミ(ひどい代物だった)を、仁川渓谷の『三段岩』で、生まれて初めて使ったのは中学2年生で、まだその当時には、地方都市や田舎では『クライミング・テ−プ』を、見ることは適わない頃だった。

高校生になって、大阪に出れるようになって、初めてドラム巻きで
販売されている『英国トロ−ル社・製品』の、クライミング専用の幅広テ−プを目にして、各種『カタログ』の写真で見知った、海外情報の中で知り得た『テ−プ・アブミ』に、触発されて。すぐに25mm幅のテ−プを購入して来て、2台の3段ステップの『アブミ』を自作した。
(右・写真)トロ−ル社のテ−プとは、違う27mm幅で、少し固めの
テ−プを結んで、作った3段・ステップの単純な『エイダ/アブミ』を使用して、三段岩の前傾壁を登っている。まだ『フィフィ』の使用を知らない頃で、履物は国産の『ヨセミテ・モデル』確か『バイソン』?だった。
金属『プレ−ト/板』を使用した3段〜4段「アブミ」か、25mm〜35mm幅の『クライミング・テ−プ/ウェ−ビング』を、ステップ・タイプと同じく、左右にル−プ・ステップを結んで4段「アブミ」として、使うのが70年代・後半に多くのクライマ−が利用していた『エイダ−/アブミ』だった。市販品は6mm・ロ−プを金属ステップと組み合わせた「3段タイプ」が、主に販売されていた頃で徐々に幅広タイプの『縫い合わされたテ−プ・アブミ』も登場して来た。少し、手間を惜しまなければメ−タ−売りの「テ−プ」を、結んで簡単に自作できた『テ−プ・アブミ』は幾つもタイプを変えて使えるので、私達がシヨップで売られていた既製品を購入する事は、まず無かった。器用な仲間には、その当時からミシン縫いの『立派な自作アブミ』を使っていた者もいた。

冬季のクライミングでは、アイゼンとの相性が悪く雑な使い方では『テ−プ』を、傷つけてしまうが「ユマ−リング」や、長時間のボルト打ち作業が要求される『壁』では、アイゼン着用・時にも、テ−プ・アブミを使用することは多かった。『金属プレ−ト』の多段アブミをテ−プ・アブミを使用する以前には、大量に使用していたのと、「ステップ』が次々と改良されて、新しいタイプが販売されていた頃には、つい新しい「アブミ」を作って、使いたかったので、コレクションに今は使う事も無い『各種・プレ−ト』が数多く、残ってしまった。
82年の渡欧時にスイスで購入して来た、当時としては珍しい『プラスチック製プレ−ト』5mm径のロ−プと組み合わせて、軽量な『4段ステップ・ラダ−・タイプ』の、アブミとして長く愛用していた。

『水に浮く・性能』を利用して、最近でも多目に購入しておいた『プレ−ト』をカヤック系の『フロ−ティング・ロ−プと組み合わせた『エイダ−』として、2セット製作し本格的な渓谷ジャンルのガイド企画や開拓キャニオニングでの補助用具として活用している。このタイプの樹脂・プラスチック・タイプの「アブミ用プレ−ト』は、現在では入手は困難なようだ。
一時期『屏風と幕岩』で、毎回と言えるほどル−ト途中で、誰かが落とした『アブミ』を拾った。数量は20本を越えるのではないだろうか。殆どを、同行者の若いクライマ−に譲った、人の落とした「物」は遭難者の物かも知れないので、私は恐くて再使用する気に、なれなかったからだ。

『ジュラルミン・プレ−ト』の登場で、各社から実に様々な『アブミ用プレ−ト』が、発売されていた頃で、何台も作っては、次に登場する「プレ−ト」を見つけては、また作って。今となっては、使えない磨耗し、曲がった「プレ−ト」は、かなりの数量となってしまった。この(写真)の、数倍は倉庫の、どこかに隠れているようだ。
25mm幅(赤色)少し、コシのある固めの『チュ−ブラ・テ−プ』を結んで、作成した3段アブミを長く使用していた。『奥鐘も屏風や、四峰・滝谷・明星』での、最初のクライミングも、この2本を使用した。
『ステップ』を、縫い合わせ製品化された『テ−プ・アブミ』を使い始めたのは、意外と遅い。
国産の幾つかの「タイプ」を、使い出して『愛用品』と、なったのは4段タイプ。まだ、「ステップ」の中に、補助ステップやグリップ・ル−プが付属していなかった初期モデル。そういった付属・機能は自分で、スリングを付け足したり、「グリップ・フィフィ」を付け足したりして、使用していた。「アブミ」に付けて使用していた「カラビナ」は、長く『キ−・ロック・システム』を、当時から採用していた『ビエ−ル・アラン』を愛用していた。
足入れ、安定感。そして今風のクライミング・シュ−ズでも足が痛くならない『幅広テ−プ』のアブミは、確かに使い勝手は『楽だが』嵩張り、邪魔なので何本も持っているのに、実際には、それほど多用していない。
この10年間、最も使用頻度が高く・機能面でも『色』も、個人的に気に入って使い続けている『アメリカ・フイッシュ・プロダクツ・オリジナル』の『エイダ−』現代的な、エイダ−としての機能は全て採用されていて、とても使い易い。『A5モデル』も、このタイプのほぼ同型・同種。色分セットで2本1セット。他色の物をも更にワンセット準備して、4本に予備1本を追加すれば、大抵のエイド・ル−トで不足は感じない。
『フリ−クライミング』の、途中で『エイド』が必要になったり、気象条件の悪化や、体調もしくは精神的な不調でフリ−クライミングが困難になったり、そういった場合に簡単に使用できる『軽量・コンパクト』なサブ・エイダ−的な用具として、以前ならば15mm幅のクライミング・テ−プを6mほど、切り売りで買って来て、結び目を作って3段・程度の『補助アブミ/エイダ−』を用意していた。

最近、私が便利に使っていて、メインの『エイダ−』の予備や、クラシック・ル−トにソロ・クライミングに挑戦する講習生に、緊急時・使用と補助的に使うかも知れない場面に、対処する為に『ペッツルのグラディステップ/GRADISTEP』等の、収納パック(ポ−チ)に小さく、折畳んで携帯できる4段・ステップの『エイダ−』の、購入・使用を薦めている。使うか、使わないか判らない程度で用意していくなら、クライミング標準ギア・セットで通常・自分が使用している『スリング類』の、中に組み合わせて簡単に利用できる3段ステップ『エイダ−』に、すぐさま現場で利用できるようにタイ・ポィントが付属した『レスキュ−・スリング』を使用した方が良いかも知れない。手持ちの『スリング』が、不足する状況での必要が予測される場合。大抵は、そういった場面での使用が問題となるので、予備的な『サブ・エイダ−』は、標準ギアセットとは別に用意・携帯しておいた方が、私は良いと考えている。

基本的な『エイド・クライミング』で、ル−ト内容で連続的な「エイド・クライミング」を要求しているなら、最低でも25mm幅の4段〜5段の、本格的な『ステップ・エイダ−』を2本。それにメインのエイダ−を落したり、ル−フ・ハングの突破で非常に、便利に使える補助(サブ・エイダ−)を1本、合計3本を用意するのが基本

『ビッグ・ウォ−ル・クライミング』や、自力で未登ラインにル−トを開拓するクライミングで、より積極的かつ快適な『エイド・クライミング』を行なうならば、現在ではポピュラ−な「テクニック」と、なって来た一つの支点に、かける『エイダ−を2本ワンセット』と言う、システムが使い易い。その場合、2本の「エイダ−」を、1個の「カラビナ」で接続するか、別々に分けて「カラビナ」で接続するかは、状況により使い勝手は変る。私は分けて使う方を使用している。市販品には、非常に工夫され使い易い『エイダ−』が、数多く販売されているので、わざわざ「クライミング・テ−プ」を、購入して来て、結んで自作して『エイダ−』を用意する、必要は無い。

『A5』『ブラック・ダイヤモンド』『ペッツル』から、選べば良いでしょう。
耐久・強度を少し、犠牲にしているが他社・製品と比較して軽く、機能面も良く出来ている『ペッツル・ウォ−ル・ステップ』が2005年〜2006年(現在)では、私の推薦用具の一つ。
『WALLSTEP』5段タイプで、他のメ−カ−品と比較すると、薄く軽いテ−プを使用して、作られているので携帯時にもコンパクトで軽い。最上段が左右ステップとして、使い易く「補助ステップ」も付属しているので実用的だ。やや、他社の製品と比較して、テ−プが薄いので、耐久性には劣るが、ハイ・ステッピング・システムを採用した現代的な『エイダ−』なので、これから、この種の『エイダ−』を、購入しようとする方には、薦められる。細部まで、良く考えられている。
見かけは、同じ様に見える市販品の『エイダ−』だが、国産タイプにはステップの中に、下・写真の補助ステップが付いていないタイプが多い。その分、価格は安くなっているがグリップ・スリングと共に、各ステップの中に、補助的に使える『サブ・ステップ』が付いている物の方が、現場では使い易い。(下・写真)のハイステップが基本形。更に最・上段のステップが左右に使えて、ハ−フ・ステップ機能もあり、ハンドル(グリップ)ル−プが付いていれば、理想的。
『旧式』タイプと呼べる(下・写真)最上段に金属ステップ・プレ−トを使用して、足入れの良さを求めた国産・既製品。このタイプを薦めるクライマ−は、かなり多く、実際に国内での使用者は多い。

沢関係でも、この「タイプのアブミ/エイダ−」を使っている人達が多く、金属プレ−トを使わない単純な「テ−プ・アブミ」との対比で、この国産モデルの使用を薦めるグル−プも多いが、私は特別このタイプの使用が便利で、使い易く実践的な『エイダ−』だとは、考えてはいない。
一般的に使用されている、国産の4段〜5段ステップのアブミ2種
製造元は同じだが、タグも変えて『シヨップ・オリジナル商品』として
販売されている事が、多い普及品タイプ。

最近は、最上部のカラビナ・ホ−ルに『グリップ・スリング』が、予め
取り付けられているタイプが、多いが少し古い製品には、付属して
いない物もあるので、そういったタイプには、適当に自分で握りやす
い長さのスリングを、付け足した方が格段に使いやすくなる。

(左)足入れが楽なように、最上段のステップを金属プレ−トを使い
下部の、テ−プのみのステップにも固めのテ−プを重ねて、補強と
足入れの良さを確保する工夫が施されている。
これまでの『金属ステップ方式・ラダ−タイプ』からの、発展・改良系
タイプで、日本では使用者が多い。
海外・製品には、似ているがステップ部に金属プレ−トを使用しない
全ての『ステップ』が、テ−プのみで製作された多段タイプの製品が
『メトリウス』や『A5』他、幾つも製造・販売されている。

初心者が『最初に購入』するのには、国産タイプは価格的にも安価
で、ステップ数にも不足は無いので使い易いと思います。
購入時には1本だけを買うのではなく、別色に分けて最初から2本
を購入した方が、良いでしょう。他に使える『物』を、所有しているな
ら、それと合わせて、使い易いタイプを1本と考えますが、徐々に
本格的な『エイド・クライミング/ル−ト』に、向う予定・希望があるな
ら『予備用/サブ・エイダ−』として、購入するのが御薦めです。

基本的に1人3本が、基本・使用のセット数。
エイド・ル−トや連続的な使用も、不要な予備的な携帯・用具で購入
するならば、これら以外の少しテ−プ幅の狭く、軽量なタイプを選択
した方が良い場合も、あります。
基本的な『エイド・クライミング用エイダ-』このタイプは2001年頃のタイプで、現在は各メ−カ−製品・共に最上段のステップに「ハ−フ・ステップ」が加えられていたり、幾つかの改良点が付け加えられている物が、多くなって来た。     『アルパィン・エイダ−』には、大きな変化は見られない
『ブラックダイヤモンド社 2001年度版のカタログ・記載商品』
一般的な、日本国内の『エイド・ル−ト』及び、ル−トの中で『エイダ-』を必要とする
ピッチが現れて、用意していかなければ時間的にも労力的にも、苦労すると判断で
きる場合は、最低3段の「エイダ−」を一人2台(本)持参するのが基本。
段数は基本の3段よりも、4段ステップを勧めますが、必ずしも4段=多段ステップの
使用を薦めている訳ではなくて、簡単なエイド・セクションを快適に突破するのならば
4段ステップを使うと、楽だという意味です。
3段ステップを2台で、補助的に手持ちで使える『スリング』を適当に使えれば、それは
それでたいていの場合は、何とかなる程度のレベルのクライミングならば軽量で持ち
運びが楽にもなります。セクションに、よっては「エイダ−」を積極的に、使わずに単純
な方法で、支点の間を移動するのも時間短縮の意味からも、良い選択と言う場合も
多いものです。
エイドクライミングが必要で、ル−ト内容も厳しい場合や、積極的なエイダ-使用が必要
な場合には、簡易型の幅の狭い補助的なエイダ−や代用品を使うよりも、4段〜5段
の、現代的な『ウォ−ル・エイダ-』2本に、サブエイダ-1本の用意が無難であり、快適。

(左・資料) 各種ウェ−ビング(テ−プ)類を使用した、ケ−ビングやキャニオニング専用
の、確保システム用具を他のメ−カ−とは、一線を画して考案・製作していたフランスの
ペッツル(PITZL)社が、最近エイド・クライミング用の新機能を加えた、使い易いエイダ−
を発売した。私が使用したのは2004年から、厚みの異なる「テ−プ」を機能的に、組み合
わせていて、細部まで工夫が施されている。軽量であり、足入れ感覚も良かった。
最上段の左右の「ステップ」も、有効に使えれば他のメ−カ−品よりも、実用的だ。

軽量・コンパクトだが、薄いテ−プが使われている部分の耐久性には注意が必要で、長期
過酷な環境下で、予備が使えない環境下のクライミングで使うには、やや不安が残った。

各種・市販品の中では、最も現代的な『エイド・ステップ/エイダ-』だろう。
普通の既成ル−トや、数ピッチ程度のエイド・セクションの突破に使う程度のクライミング用
と、言うよりは開拓系の実践的な『本格的なエイド・クライミング』で、性能が発揮するタイプ
だと思う。
長く、クライミングテ−プを結んで、簡単に自作した3段ステップのエイダ−を使っていた。
4段から5段に、ステップ数が゜増えた、既製品を使い出したのは80年代に入ってから、5段7段の、まるで本物の梯子タイプを使い出したのは、ごく最近になってからだ。
補助的な使用。フリ−クライミングで突破が、可能でも能力的な不足や時間の短縮
【大抵はフリ−の方が、早いが】様々な理由と、条件で短いセクションでエイドの技術
と用具が必要になったら、単純なカラビナやスリングをハンド・ホ−ルドに使った俗に
A0(エ−ゼロ)で、その箇所を通過するのが、大抵の場合は、無駄な時間も使わず
簡単な方法だが、ザックの重さや疲労度、腕力に支点の効き具合もト−タルに計算
して、簡易タイプに手持ちのスリング類を『エイダ−』使用するのも、良く使う技術だ。
更に、支点間の移動・距離が必要で体力的な軽減を求めると、やはり『エイダ-』を2本
使用した、基本的な『エイド・テクニックと用具』を、使いこなす方が得策となる。
そういった場面でも、たった数メ−トルの距離や部分の突破が、予測されていたり
他のセクションでは不要な用具類を、持ちたくない場合はトップのクライマ−だけが
(右・資料)タイプの小さな、収納パックに収まる「軽量・コンパクトな補助エイダ-」を使う
だけで良い場合は多い。4段ステップ・タイプで15mm幅・程度のエイダ−が、補助具
として携帯しやすい。最近は幾つかのモデルが市販されている。
私は、以前に少し固めのテ−プ幅の狭い、とても使い易い『フオレスト社・製品』を愛用
していたが、播但で開拓した滝ラインで講習参加者の、勘違いか?滝の出口の箇所で
残置・放置されて来て、紛失。それ以降は、この『PITZL』を使用している。
収納用の「ポ−チ」が、邪魔ならば取り外して使っても良い。
小屋番のU氏から、誘われて当時は、まだ未登だった『大滝』に
何度も、通い込んでいた頃。70cmシャフトのシモンのアックスと
同じく、出回り始めたばかりのシモンのアイスハンマ−2本セット
での『アイスクライミング』手持ちのアイスピトンの中には、針金
もどき・のコ−ク・スクリュ−が混じっていた時代だ。
当然、U氏は完登が目的でアブミも使用して現在の標準タイムの
数倍の時間を使って、アイスピトンを設置しながら終了点の立木
に、到達するのは毎回・毎度の夕暮れが迫った寒気の時間帯。
ああでも、ない。こうでも、ない・と試行錯誤のアイスクライミング
修業時代は、本当に楽しかった。
絶対に、他のクライマ−に出会う事は無かったし、先行者のラッセ
ル痕跡は皆無。静寂な環境を、独占していた。

金属プレ−トに切り売りの6mm程度の、ロ−プを結んで作る
『アブミ』も、着膨れし動き難くなった冬季には、各ステップの段差
の間隔を、少しずつ短く調整した方が、絶対に使い易いという簡単
な原理も、この頃の体験で覚えた知識だった。

『エイド・テクニック使用のアイスクライミング』今の、クライマ−から
は軽蔑視されてしまうだろう。それでも、この頃には充分に課題に
対して、熱くなれたし、見本を周囲に見ない環境だったので面白さ
は満喫していた。色々と技術的な『基礎』を学べたと思っている。
何しろ、あれだけ連続的に効かない「アイスピトン」を打ち込み
恐い思いで直接、体重を預けていたのだから、現代的なピトンを
使える頃には、怖い物なし状態だった。
『シヤッカル』を2本セットで、購入使用できる
以前から、意識は『フリ−』徐々に、スタイル面
でも挑戦できる意欲が、生まれた頃。
穂高で知り合った、関東や長野の仲間達とも
手軽に入れて、生活環境も小屋番のU氏から
色々と、親切にして頂けて辛いビバ−クを繰り
返しても、小屋の暖かさで気力も回復。
数度、連続・継続でのアイスクライミングと毎回
どこを登っても、楽しかった頃なので随分と八に
入っていた。
そして、何度も登りに来ていながら不思議と飽
きない、この『大滝』も、『両手セットのギア』を
手に入れて、フリ−・アブミから開放されて完登

U氏は、持病の心臓の悪化で小屋から下山。
急な発病時に、搬出を手伝わせて頂けた。