Angle Pitons/BONG
弾力性に富む『スチ−ル合金』を、曲げ合わせて作られている、各種『ロック・ピトン』の中でも、構造上から最も高い支持力と耐久強度を有していて、極端に強くクラック奥まで、叩き込み過ぎなければ回収も、比較的・簡単で回収後の再使用にも充分に耐えられる。使用頻度の高い、最少サイズを『ベビ−・アングル』と愛称で呼ぶのは、クライマ−だけでクロモリ合金やアルミ合金タイプで、作られた物も全て『アングル・ピトン』と呼ぶが、サイズの大きな物は『ボング又は、ボンボン』と称されている。名称の『ボンボン』に関しては、クラックに打ち込むと、名称になっている通り『ボン・ボン』と、楽しい?音を発するからとの説が有力。真意は定かでは無いが・・・
『アングル・ビトン』の名称として使われている『アングル』に関しては、初期のロック・ピトン類では、対応できなかった幅広のクラックに使用する為に、建築鋼材の『アングル形状』のスチ−ル・バ−を、カットして「ピトン代わり」に、使用したと言われていて、それが名称として、そのまま残ったとの説が有力。日本国内でも、同様な記録が公表されていて、その国内の記録には、アルミ・サッシをカットして自作した『アングル・ピトン』と、同種の使い方で突破したクラックの記述が印象的だった。似たような事例は数多そうで、建築材を使用した代用ピトン類の自作品は、一時・日本各地の比較的・大きな岩場で、実際に使用されていた。
『残高』は、心配の種だろうがクレジット・カ−ド1枚、差し出せば、何でも揃う現在では、この種の楽しみを知るクライマ−は皆無。必要性も感じないだろうが、応用力という部分や、創造性の分野で何か乏しく、欠如している感は否めない。
各種『チヨック』と『カム・ディバイス』の利用が一般的となり
『アングル・ピトン』を、組み合わせる『重ね打ち』を実際に
使用する機会は、現在では少ない。
それでも応用技術として基本的な、技術的な方法や使用後
の先端部が傷んだ『アングル・ピトン』を、少し改造して次ぎ
の使い方として知っておいた方が良い知識も多い。
奥の浅い、フレアド・クラックに『ストッパ−類』を押し込む技術としても
『ベビ−・アングル・ビトン』と、組み合わせて使う技術は、意外と役立つ。

『チヨック』本体を、無理にクラックに食い込ます為にハンマ−で、叩き過
ぎると、回収時の手間と労力が無駄になる場合にも有効な技術。
ワイヤ−が『チヨック』を、引き抜き方向に引っ張る『箇所』で、無用な危険
を避けたい場合にも、使える。
『アングル・ピトン』を、他の種類のピトン類と組み合わせる『重ね打ち』
テクニックで最も、多用されるのは断面がS字状で、アングル・ピトンの
曲線部と、組み合わせた場合にスタッキング効果が大きい『Z型ピトン』
俗に、リ−パ−・タイプとの組み合わせが多用される。

クラック自体が、ピトンを打ち込むと拡張(エキスパンディング)する様な
非常に、デリケ−トで『恐怖感と実用限界』を見極めてピトンを打ち込む
しか方法が、在り得ない状況では、単体のピトンを使用するよりも2本の
ピトンを組み合わせて、クラックの拡張とピトンの剛性・反発力との微妙
な駆け引きで『体重・程度』の、加重に耐えれる範囲にピトンを設置する
技術も必要となる。

市販・流通品は少数で、購入は簡単とは思えないが韓国製の軟鉄製
の『ベビ−・アングル・ピトン』等は、この種のパタ−ンで使い易い。
『Z型リ−パ−・タイプ・ピトン』は、小数ながら日本国内でも購入できる
代表的な製造メ−カ−は、アメリカの『パイカ』等だが、以前には日本製
の軟鉄タイプも販売されていて、投売りワゴンや店の奥に眠っている物
を見つけられるかも知れない。
パテント生産で『ナイフ・ブレ−ド&ロスト・アロ−』を製造しているイタリア
『グリベル』の『アングル』も、高水準のピトンと言える。

以前は『リ−パ−・タイプ』を製造していた『シャルレ』や他の欧州メ−カ−
は、チヨックの普及から徐々に、この種のサイズのピトンを生み出さなく
なって来た。

木製クサビは完全に『過去の遺物』アンティ−ク用具として忘れられ。
『アルミ合金のボング類』も、実際に見たことの無いクライマ−も増えて来た。
80年代には、チャンネルとかコの字型、と呼ばれた厚刃のブレ−ド・ピトンとアングルの中間サイズのピトンが一般に流通していて、特に冬壁での使用者は多かった。シャルレやシモン・グリベルからも、多数の類似品が製造・発売されていたが、クロモリ鋼材の『アングル・ピトン』の、普及と共に日本国内では見うけられなくなって来た。一時期『東京トップ』から、発売されていた、一連のクロモリ・ピトンのシステムの中に、このタイプが長短2種類あって、これが中々、使い易かった。アングルと同じく、がっちりと効くと回収が、困難なムタイプではあったが、このタイプのクロモリ・ピトンは現在でも必要性を感じる。

『木製のクサビ/楔』クサビと聞いて、意味が通じないクライマ−も最近は増えてしまった。
日常会話には、使わない部類だし用具の説明の中でも一般的では、無くなって来た様だ。
40数年前ならば、六甲山の岩場にも朽ちた、この種類の『残置物』の現物を、目に出来たのだが、70年代から、そういった残置物は全て岩場内から消え失せて、痕跡さえも残ってはいない。逆に、それらの古典的な用具を回収したクラックに80年代に、建築資材からの流用品と見られる、V字型・鋼材などをアングル・ピトン代わりに打ち込んだ、クライマ−がいる。神戸のAさんも『堡塁岩』に、そういった種類の用具を設置した一人だ。その種の鋼材も、完璧に耐用年数が過ぎていて、かなり危険な部類の残置物と思える。
『リボルト問題』の中に、これらの不安な残置物の回収も考える必要になって来た。これが、かなり厄介な作業に、なりそうな事は理解しているが、そろそろ真面目に取り組む時期だろう。

『木製楔』を実際のクライミング(ル−ト開拓)で、使用した最後のクライマ−は私らしい。
穂高の明神・南峰2・263m峰や、中又白の奥部の岩壁などで、まだフレンズ等が存在しいなかった頃に使っていた。同時期には、アルミサッシ利用のクラック攻略を採用していた、クライマ−もいたし、手製の『木製楔』の使用者の話も、意外と多く見知っている。こんな話題は、かなりの昔話と思われてしまうが、楔こそ使わないが、ワイド・クラックでのカム・ディバイスとの組み合わせ使用での、楔に似通った木製・用具の利用は、意外と最近まで一部のクライマ−が使っていた技術だ。
同じ様に『ペ−パ−・ブック』が、使われたクラックなどの話題も基本原理は全く同じだ。
『ボング』を横にして、一種のチョクに使ったり、カム効果を効かせて利用したりと、初期の使用者は単純なピトン・ワ−ク意外にも、この種の変った用具の使い方に工夫を凝らしていた。日本では、この種の大型ピトンの使用が普及する以前に、チョクが入り出し、フレンズ類が普及したので他国のレベルでの使用は多くはない。

同じ様に『ベビ−アングル』とオ−バル・カラビナとの組み合わせで『ブレ−キ・バ−』を使うような応用的なクライミング技術も、殆どのクライマ−に知られること無く、知識を持つ者もいなくなって来た。
日本国内で最初に『合金製ボング/ボンボン』が、使用されたのは1968年の関東圏の岩場での、小さな開拓からだと言われている。本格的な使用が、報告されクライミング関係で記事の中で紹介されたのが1973年の日本人としては、最も初期のヨセミテ経験者になった高橋宏安氏・山岡二郎氏・黒田薫氏の3人が『ポンボン』の使用と、当時には使用の問題で引き起こされる『クラックの破壊』に、関してもいち早く指摘しているのが重要な記録だ。