個人・依頼『バリア・フリ−・プログラム』

鈴鹿・御在所岳・藤内壁・3ルンゼ

担当『MCS・舟橋 健』

2003年の正月に八ケ岳『赤岳・山頂小屋」にて知り合った、名古屋・在住の則竹さん・からの相談で
彼女の欧州アルプス・モンブランや本格的なクライミングへの挑戦に、役立つ国内での彼女の練習項目や実際に、想定される彼女のハンディによる、困難性と技術・課題を具体的にプロ・ガイドとして私から、幾つか提案して。氷・雪での歩行の基本から、氷河でのクライミングの基礎を学ぶ方法を教えておいた。

彼女は若い?時に、山での事故で脚(足)に重傷を負って、リハビリを経過しても普段の歩行・生活にも
ハンディを持っているが、初めて山小屋で出会った時には、彼女が私達と、ほぼ同じコ−スを経由して厳冬期の八ケ岳を縦走して来たとは夕食・時に会話するまで気が付かなかった。

コ−ス内容と冬季・雪と岩の混じったコンディション・この時期・特有の気象条件を考えれば『良く・頑張った』山行を達成したと言えるでしょう。山小屋の宿泊・客の中には、当然の事ながら彼女が「場違いな場所」に、いる・そういった視線を感じさせる者も、いた。私に言える事は『素晴らしい山行』を達成している
単純に、この困難な山行に向って来た・彼女の情熱を感じた、事は確かだ。

本来は『視覚障害者・用』として顔面・保護を目的に舟橋が既成のクライミング・ヘルメットにバイク用ヘルメットに付属していたシ−ルド(バイザ−)を取り付けた・改造品
(ヘルメット)

現在では『アイス・クライミング』専用・品としてバイザ−付属のクライミング・ヘルメットは普及しているが、氷片からの眼球・保護には役立つが、転倒などでの顔面・保護には少しばかり心許ない。
又、バイザ−の可動・範囲が狭く、オ−プション・タイプの後・付けタイプの物には固定・部分の強度が不足しているものも見受けられる。
『写真』仕様のは・着脱式だが固定金具の強度は強く。チャレンジドの様々な利用プログラムで使用して、安心出来るタイプと言えるでしょう。
使用ヘルメットはペッツル社・製品で改造アィディアとバイザ−も舟橋が提供してK氏が実際の、改造を担当・使える物を作ってくれた

前年の正月に知り合った時に、彼女が使用していた装備・用具を見ていて、新たに必要となるだろう・また・新たに購入して、近い将来の彼女が希望・望んでいるタイプの、山行に安全性を高め。かつ、より快適なクライミングを保障してくれる「物」を幾つか、アドバイスしておいたが、冬季用ブ−ツは買い足して・いなかったので私のスク−ル利用・用具の中から、使う機会の少ない少しばかり古いタイプだが、この種の用具を使った経験の無いと言う彼女には、今から慣れる必要もあって、コフラック社の女性モデル・プラスチックWブ−ツを差し上げて使って貰う。ただ、かなり古いモデルなので、練習用として、壊れるのは時間の問題としてだ。

私からの提案としては、彼女が、この種のWブ−ツを必ずしも使う必要は無いと思うし、可能な限り皮製でオ−ダ−・自分の足に確実に適合する『冬季・利用』タイプの登山靴を購入して欲しいとは伝えてある。

『改造ヘルメット』

『改造・松葉杖』

普段の生活から「松葉杖」の使用が、必要な則竹さんが使用している松葉杖は、通常の『生活・範囲』の歩行には使い勝手は慣れている為に、支障は無さそうだと感じていたが、事前の六甲山でのクライミング講習や氷雪・想定のプログラムで観察していると、本格的な氷河や急傾斜の雪面・岩場の通過では、少しばかり心許ない。
そう見えていたが、八ケ岳のコ−スを一人で、走破して来た実績を目にしている私には、本格的に専用品を作るべきだとは言えなかった。特殊な『専用・用具』は、この国には存在していないし・造ると成れば、かなりの困難さと『費用』が、必要だから。まず、労力と費用を考えると、今ある・使っている物を活用するのが現実的な方法だから・アピ−ル・発言・情報を出して行けば、近い将来に・何時もの様に何かの出会いや・機会に恵まれそうな予感は、あるので。

彼女が、今回・使用している『松葉杖』には一応はアックス(ピッケル)で、言うところのスパィク=スピッエ(石突部)には、堅雪用に交換が可能な様に『改造』が施されている。

ただし、交換には少しばかり手間が・かかる上に応用は効かない。実際、斜面の度合や氷雪の堅さに合わせて、その場で着脱は不可能なので、ラッセル・リングを取り付けて深雪に対応するか、尖ったスパィクを使用して堅雪・斜面に対応するしか、選択肢は無いが。こういった特殊なチャレンジド
(障害者)に対応した用具・特に登山活動に使える『松葉杖』などは、まず入手・不可能と言っても良いだろう、この国の事なので・改造品を提供してくれたアイゼン製作では有名な『カジタさん』には、敬意と感謝です。

以前に、片方の脚(膝から下部)欠損で・歩行用・義足にクライミング・シュ−ズを固定してから本格的なエイド・クライミング(人工・登攀)にも、対応すべく膝ハンガ−(特殊エイド−用具)を両脚に取り付けて対応。
穂高の滝谷ド−ム西壁で3本のル−トをガイドした男性Nさん・彼の場合には現在・主流として普及され出している1本・支柱アルミ・パイプ製品の補助具(松葉杖)を中央部から、連結・金具を改造して折畳める様に東京・志茂田の金属加工・担当者に依頼して、原型が見えないほどに改造して利用した。結果は、強度面に不足が生じて・下山時・北穂高岳・南稜でさえ難儀だったが・・・・・
そういった意味では、普及品の木製=旧式だが・改造は比較的・簡単で何より安価・・・・・強度面も、ある程度は予測・可能。現場での応急修理も可能。問題は・携行性能と重量に、片手のアックス性能の不足?

今回は、今ある補助・用具で可能な限り・本格的に氷雪・技術のトレ−ニングを行う・無論・この過程・技術講習が氷河歩行から始る欧州・等の彼女が『夢見ている』アルプスへの、1ステップだと言う、認識で彼女には頑張って貰った。

登山靴は私が、提供したWブ−ツを履き。アイゼンは彼女が今まで使って来た縦走向きタイプに替えて今回の講習では、無用な労力(体力)と不必要な疲労を軽減して欲しく。私からアイス・クライミング専用タイプ・前爪が1本・縦タイプの、ブラック・ダイヤモンド社のを使って貰った。

アイゼンはアプロ−チとアイス・クライミング時には、履き替えてもらう。

クライミング時に氷専用タイプを使用したのは、彼女がハンディを持った片足の関節部が要求されるフット・ワ−クに対して、可動範囲が狭く。無理な蹴り込み、で弱い部分に過度の疲労を生じて基本の技術的な問題に集中・出来なく・なる事を避けたかったからだ。現実的には、必ずしも彼女が希望する山行・クライミングに、この専用タイプのアイゼンを使用しなければ、ならないと言う訳では無い。

アイゼンを履いて・歩く・足を置く。と言う感覚と・前爪を蹴り込む・この感覚は違ったものなので・ある程度、雑なフット・ワ−クでも、このタイプのアイゼンならば、氷面へのスパィク(ツアッケ)の、引っ掛かり・が良いから・予想通り、の無理は効いた。

両手に持つ『ギア=用具』類は、私が持参した6種類の専用・用具(アイス・バイル)を、交互に・左右・交換しながら、実際のアイス・クライミングの現場で使用して、それぞれの特徴から彼女・自身が最も使い易い。振り切れるタイプを最終的に選択して・もらうのが目的だった。もう一つの目的は、実感しなければ中々・理解・し難い彼女が、今まで使って来た古いタイプ・使用目的の、各種・用具との決定的な『差』の実体験による理解・比較による納得である。こういった問題を、自分の中で頭だけで、理解するのではなくて、現場で使って体感・納得するのは絶対に必要なので、ガイド・プログラムでは重要だと私は思う。

彼女に「アイス・クライミング」を、誘う前に
まずは、クライミングの基礎を教える為に・前年に関西に出て来て貰い。一泊、私の自宅に泊まって貰い・翌日に彼女のクライミング体験・講習に適した。裏・六甲山の「蓬莱峡」で、1日・しっかり基礎からトレ−ニングを行った。

この時の『講習』には、新聞社から記者が同行して新聞・紙面に使用する為の「写真」を多数・撮影してくれ。その中から、良いものばかりをセレクトして私に譲ってくれた。通常は、単なる
『取材』だけなら、写真を、わざわざ送ってくれたり・しない。記者との交友・関係と『バリアフリ−活動』への、理解が記者にある場合は、こういった好意的な写真の提供が得られるようだ。と・言う事は・紙面・作成に取材に来ても・社の方針とか言って。一枚も・写真の提供を拒み。譲ってくれない「記者」の弁は、はたして「社命・方針」だけだろうか?

【左・写真・フリ−・クライミングの基礎を指導する】
2004年2月11日の講習記録

理想は、もう少し携帯性に優れ。全体の重量も
軽減した『松葉杖』を、山行で使えればと思う。

市販品の中で、非常に軽量に作られた物は、存在
しているが、実際に山で使用するには強度が不足
していて。実際には使用に耐えなかった。

10数年前に義足利用者で滝谷のクライミングを
一緒に行った、方も市販品だが、一部・改造を施
した『松葉杖』が、北穂高・南稜での下山時に破損
してしまい。上高地までの行程で随分と苦労した。

介護用品などの、用具類が必要不可欠な時代に
なって来たので。この種類の補助具も改良が進む
と思われるが。
登山用は強度と軽量化が難しい。

人の可能性を、認めて手伝う事が本分たる「プロガイド」が。障害を理由として「山への夢や希望」を拒絶するとは、私には信じられない。人の『可能性を否定、する事は己の可能性さえ否定する事』

国際山岳プロガイド 舟橋 健

2006/04/03 (月) 21:56:24